体に気になる症状があるけど、摂食障害のせい?
病院へ行くべき?
相談できるひとがいないと不安になりますよね。
摂食障害は様々な症状が出ます。
なぜなら、摂食障害は食事から取れる栄養が足りない&嘔吐や下剤によって栄養が出ていくので、全身に影響が出る病気だからです。
私は15年間、摂食障害と闘ってきました。
そして、たくさんの体の症状(合併症)を経験してきました。
日常生活に支障が出るほど体の症状に悩まされたこともあります。
むくみ、低カリウム血症、低血糖、無月経、不眠症、酸蝕歯、唾液腺炎、乾燥肌などきりがないほどです。
現在は心療内科と消化器内科に通院し、定期的に体の検査を受け、適切な治療を受けているため、生活に支障が出ることはなくなりました。
この記事では、私の経験もふまえて、摂食障害でよく見られる体の症状(合併症)について、自分でできる対策と病院へ行く目安をお話します。
あてはまる症状に気づいたら、なるべく早めにお医者さんに相談してくださいね。
摂食障害は命にかかわることもある怖い病気であることを忘れないでください。
摂食障害による体の症状(合併症)
摂食障害は体に大きく影響します。
全身にさまざまな症状が出ます。
仕事や勉学などの行動に支障が出ることもありますし、ときには命にかかわることもあります。
体の異常に対しては、治療法がはっきりしており、症状によっては一時的に改善することができます。
ただし、根本的に解決するには、原因である摂食障害を治す必要があります。
体の症状の原因
摂食障害にともなう体の症状の原因には3種類あります。
- 過食行為による症状(唾液腺炎や低血糖など)
- 栄養不足による症状(貧血や乾燥肌など)
- 嘔吐・下剤・利尿剤による症状(むくみや不整脈など)
体の症状と対策
摂食障害でよく見られる体の症状について、対策を解説していきます。
むくみ(浮腫)

【原因】過食・嘔吐・栄養不足
むくみとは、体に水がたまってしまう症状です。
塩分の取りすぎで起きること多いです。
摂食障害の場合、低アルブミン血症(栄養不足)や腎臓の機能低下により病的なむくみが起きることがあるため注意が必要です。
また、拒食症からの回復期に急に栄養を取るとむくみが発生することがあります(リフィーディング症候群)。
急激で明らかなむくみが現れたら迷わず病院へ行きましょう。
- 食事から栄養を取る
- 塩分を控える
- カリウムを取る
塩分の取りすぎが原因の場合は、カリウムが効果的です。
カリウムは体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあり、むくみ改善に役立ちます。
カリウムが多く含まれる食品
【海藻】
・昆布
・ひじき
・わかめ
・海苔
【野菜】
・ほうれん草
・モロヘイヤ
【果物】
・キウイ
・柿
・いちご
・バナナ
・アボカド
【芋類】
・里いも
・じゃがいも
【豆類】
・大豆
・納豆
【飲み物】
・お茶(玉露・抹茶)
・豆乳
海藻、野菜、お茶(玉露・抹茶)は低カロリーなので取り入れやすくおすすめです。
食べ物から摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用すると良いです。
私が飲んでいたカリウムのサプリメントを紹介します。
こちらのサプリメントは1日1~5粒が目安量と記載がありました(1粒カリウム99mg)。
摂取量は、食事から取る栄養も考慮する必要があります。
なお、厚生労働省が示すカリウム摂取量目安は以下の通りです。
カリウム摂取量目安
(参考)厚生労働省 資料 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf
・男性2500mg以上
・女性2000mg以上
粒が大きいので飲み込みにくいのが難点です。
過食で塩分を取りすぎたときや、許可食が少ないときの栄養補給として摂取していました。
ちなみにカリウムを飲むと尿量が増えますので、タイミングにご注意ください。
なお、現在はかかりつけのクリニックで低カリウム血症に対してカリウムを処方されているため、サプリメントは飲んでいません。

塩分に気を付けて、カリウムを取っても、むくみが気になるという場合は、着圧レギンスを活用するのも良いですよ。
私はグラマラスパッツを愛用しています。
グラマラスパッツのレビュー記事もよろしければご覧ください。
電解質異常(低カリウム血症)
【原因】
栄養不足
嘔吐・下剤・利尿剤
手足のしびれ、こわばり、力が抜ける、けいれん、動悸、不整脈など
嘔吐、下剤、利尿剤などで電解質(特にカリウム)が水分と一緒に排出されてしまい、低カリウム血症になります。
カリウムは筋肉を動かすのに必要な栄養素です。
不足すると手足のしびれやけいれんを起こすことがあります。
心臓を動かすためにも必要で、不足すると動悸や不整脈が生じ、重い場合は心不全を引き起こして突然死の原因になります。
- 食事から栄養を取る
- 嘔吐、下剤、利尿剤を控える
- カリウムを取る
カリウムの摂取方法については前項目をご覧ください。

私は過食嘔吐の回数が増えると低カリウム血症を起こします。
手のしびれ、こわばり、力が入らないなどの症状が出ます。
嘔吐でカリウムが失われるため補給が必須です。
心臓・肝臓・腎臓・胃腸など内臓の異常
【原因】栄養不足
- 尿量の低下とむくみ(腎臓の障害)
- めまい
- 動悸・不整脈(心臓が変な感じでドキドキする・脈が飛ぶ)
- 激しい腹痛・吐き気
- 食事から栄養を取る
- 病院にかかる&定期的に検査を受ける

緊急性の高い症状ばかりです!異変を感じたら早めに病院へ!
貧血

【原因】栄養不足
鉄分、ビタミンB12、葉酸のなどの栄養が不足することで、血液をうまく作れなくなることにより起こる症状です。
立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつき、動悸、胸の痛み、耳鳴り、手足の冷え、頭痛、疲れやすいなど
栄養を取る(鉄分、ビタミン)
栄養が食事で十分に取れない場合は「ファイチ」などの市販薬で補いましょう。
ただし、立ちくらみ、息切れ、めまい、ふらつきなど明らかに症状があれば、まず病院を受診しましょう。
似たような症状が出る病気がたくさんあるので、血液検査をして貧血であることを確認する必要があります。
低血糖
【原因】栄養失調、過食
<拒食症の場合>
極度の栄養失調による低血糖が起こります。
<過食症の場合>
糖質や炭水化物を過食すると血糖値が急激に上がります。
すると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが過剰に分泌され、血糖値が下がりすぎてしまいます。
このような血糖値の乱高下を血糖値スパイク、こうして起こる低血糖を機能性低血糖症と言います。
この状態が長く続くと糖尿病になるリスクもあり注意が必要です。
空腹感・頭痛・眠気・発汗・動悸・手指のふるえ・倦怠感・抑うつ状態・イライラ・不安感
- 栄養を取る
- 食べる順番を工夫する
<機能性低血糖の予防方法>
食物繊維の多い食べ物は血糖値の上昇をゆるやかにします。
たんぱく質は血糖値が上がりにくい食べ物です。
これらを先に食べます。
炭水化物は血糖値が上がりやすいため、最後に食べるようにします。
こうした食べる順番の工夫で、血糖値の乱高下を防ぐことができ、低血糖対策になります。
食べる順番
①食物繊維の多い食べ物(野菜、きのこ、海藻など)
②たんぱく質(肉、魚、卵など)
③炭水化物(菓子パン、お菓子、ごはんなど)

いわゆる「底」を作れば、低血糖を予防できる体に優しい食べ方になります。
過食嘔吐の場合、この順番で食べれば吸収カロリーも少なくなり太りにくいというメリットもあります。
<低血糖の症状が出たときの対応>
過食後に数時間以内に体に異変を感じたら低血糖を疑い、ブドウ糖(ラムネ、飴、砂糖入りジュースでも可)を摂取してみてください。
それで症状が回復するようであれば低血糖である可能性が高いです。
低血糖時に現れる症状には個人差があります。
私は手足のふるえ、倦怠感、ふらつき、目のかすみなどの症状が出やすいです。
低血糖を経験したら、自分の症状を覚えておくとよいです。
次回から早く察知できます。
低血糖の症状が現れるようになったら、ブドウ糖を持ち歩きましょう。
症状が出たときに、自力ですみやかに摂取できるよう、肌身離さず持っておくことが重要です。
ブドウ糖はドラッグストアなどに売っています。
なければラムネ、飴、砂糖入りジュースでも大丈夫ですが、ブドウ糖の方が症状の回復が早いです。
逆流性食道炎

【原因】嘔吐によって食道が胃酸で傷つく
胸やけ、酸っぱいものが上がってくる、みぞおちの痛み
- 嘔吐をひかえる
- 胃腸科を受診

過食嘔吐は胃を酷使するので少しでも症状があれば胃カメラ検査を受けると安心です。
摂食障害には関係ありませんが、私は胃カメラでピロリ菌が見つかりました。
ピロリ菌は胃がんの原因の1つで早めに除菌しておくことが重要です。
若いうちに胃カメラ検査を受けておいて本当に良かったと思います。
生理不順・無月経
【原因】
・栄養不足
・低体重
・体脂肪率の低下
栄養不足・低体重により、女性ホルモンの分泌を調整している視床下部に異常が生じることで生理が来なくります。
体重が戻ればいずれ治ります。
将来の妊娠・出産に影響するので、早く体重を戻して回復させる必要があります。
月経周期を保つためには体脂肪が必要です。
体脂肪率が22%以上が望ましく、最低17%は必要とされています。
婦人科に相談しましょう。
摂食障害が原因でないこともありますので、生理が3カ月以上来ない場合は、必ず病院を受診しましょう。
不眠症

【原因】空腹感、ストレス
規則正しい食生活
摂食障害だと規則正しい食生活を送ることが難しいこともありますよね。
不眠を改善するためにできることを6つ紹介します。
<不眠を改善するためにできること>
①朝起きたら日光を浴びる(体内時計をリセット)
②運動を習慣にする
特に効果的なのは夕方から夜(就寝の3時間くらい前)の運動
③入浴
副交感神経が優位になり眠りやすくなる
夕方から夜(就寝の2~3時間前)の入浴が効果的
・38度のぬるめのお湯で25-30分
・42度の熱めのお湯で5分
・40度のお湯で30分半身浴
自分の好きな入り方でリラックスすることが重要
④サプリメント GABA
⑤市販の睡眠薬
⑥アロマオイル
アロマディフューザーなどを枕元に置いて香りを嗅ぎながら眠ると睡眠の質が良くなる。
ローズかラベンダーの香りが睡眠の質の改善に効果があったという研究結果があります。
×避けた方が良いもの
・コーヒー・緑茶・チョコレートなどカフェインが含まれる飲食物は覚醒作用があるので就寝の5~6時間前から控えた方よい。
・タバコに含まれるニコチンも刺激剤として作用するので控えた方が良い。
・アルコールで寝付きがよくなることもあるが、睡眠の質を下げるため控えた方がよい。
・スマホは寝る90分前から触らない(ブルーライトを避ける)
自分でできる対策をとってみても不眠が数週間続くようなら病院に相談しましょう。
病院で処方される薬は市販の睡眠薬とは効き方が違うので、すぐに効果を得られることが多いです。

私は現在、トラゾドンとデエビゴという薬を処方されて飲んでいます。
1時間以内に入眠でき、朝の目覚めは良く、日中の眠気は特に感じません。
確実に体を休めることができます。
休息を取ってから根本的な原因の解決に向けて動き出せばよいのです。
歯のトラブル(虫歯・酸蝕歯・知覚過敏)

【原因】
過食(食べ物の酸で歯が溶ける)
嘔吐(胃酸で歯が溶ける)
嘔吐をすると食べ物と一緒に胃液も混ざって出てきます。
すると歯が胃酸にさらされることになります。
胃酸は強い酸で歯を溶かしてしまいます。
これを酸蝕歯(さんしょくし)と言います。
また、歯が溶けることで、虫歯菌が歯に入り込みやすくなり、虫歯になりやすくなります。
嘔吐を続けていると、歯がボロボロになり、溶けてなくなってしまうこともあります。
嘔吐をしない過食症やチューブ吐きでは、胃酸が歯に触れることはありません。
しかし、普通よりも食べる時間が長くなることから、食べ物自体の酸により歯が溶けるリスクは高くなります。
- 嘔吐後はよく口をすすぐ
- ガムを噛む(唾液が口内環境を整える)
- 食後30分ほど時間を空けてから丁寧に歯をみがく(食べた直後は歯がダメージを受けやすい)
私は長年チューブ吐きですが、酸蝕歯によるトラブルに悩まされています。
知覚過敏を起こしやすく、冷たい水がしみるようになります。
また、明らかに虫歯になりやすくなりました。
歯医者での定期検診を受け、日頃から歯をいたわる行動がとても重要です。

毎食後の歯磨きとキシリトールガムを習慣に。
歯について詳しくは「【過食嘔吐と歯】歯を守る方法5選|過食嘔吐は歯医者にばれる?」で説明しています。
唾液腺の腫れ
【原因】過食・嘔吐
過食や嘔吐をしていると唾液をたくさん分泌します。
唾液の過剰分泌が続くと唾液腺が大きくなります。
唾液腺は耳や顎の下にあります(耳下腺や顎下腺)。
唾液腺が腫れると、顎や耳のまわりが腫れ、エラが張ったようになるので、顔がぱんぱん見えてしまいます。
過食・嘔吐をひかえる
過食・嘔吐がなくなれば唾液腺の腫れもおさまっていきます。
唾液腺については「【摂食障害は顔つきでばれる?】過食嘔吐の顔パンパンを解消!簡単小顔テク10選」でも解説しています。
乾燥肌

【原因】栄養不足や水分不足
栄養を取る(たんぱく質、ビタミン、ミネラル)
皮膚の材料となるたんぱく質や肌のターンオーバーを調整する様々な栄養素(ビタミンやミネラル)を食事から摂取できれば理想的ですが、なかなかうまく食事をとれないこともあると思います。
<内側からの対策>
サプリメント(マルチビタミン・ミネラル)を取る。
<外側からの対策>
ワセリンで肌の水分が逃げないよう保湿する。
産毛(うぶげ)が濃くなる
【原因】栄養不足
摂食障害の特徴的な症状のひとつです。
背中などに産毛が密生します。
痩せて皮下脂肪が少なくなることで低体温になり、身体を守ろうとして毛が濃く生えると言われています。
栄養を取る(ふつうに食べられるようになれば回復する)
病院に行ったほうがいい?何科にかかるべき?
自覚症状があれば病院に行きましょう。
摂食障害は命にかかわることもある怖い病気です。
大丈夫だと思っていてもある日突然倒れたりします。
摂食障害だと医師に話すことに抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが気にする必要はありません。
むしろ相談相手ができることで気持ちが少し楽になりますよ。
無月経は婦人科、歯のトラブルは歯医者、その他の体の症状は内科です。

何科に行けばよいか悩んだら内科へ行けば大丈夫!
まとめ
- 摂食障害は心の病気だけど体にいろんな症状が現れる
- 原因は過食、栄養不足、嘔吐・下剤・利尿剤
- むくみ、低カリウム血症、内臓の異常、貧血、低血糖など危険な症状もある
- その他にも無月経、不眠症、歯のトラブル、唾液腺炎、乾燥肌など全身に症状が出る
- 摂食障害は命にかかわることもある怖い病気なのでかかりつけのクリニックをもつと安心
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